2023/12/26投稿者:内田 勇夫

履歴書の書き方

履歴書とは

履歴書は、日本の採用シーンおいて一般的に必要とされる文書です。個人の基本情報、学歴、職歴、資格などを正確に伝えるために作成され、応募者のプロフィールを理解するための基本的な情報を提供します。履歴書の正確な記載は、採用プロセスにおいて重要であり、多くの企業が候補者の適性を判断する際の基準として利用しています。

 

履歴書の基本フォーマット

履歴書の基本フォーマットに関しては、厚生労働省の様式を推奨します。この様式に法的な拘束力はありませんが、広く認識されており、公正な採用選考を確保する観点からも適切とされています。サイズはA4サイズ(二つ折りになっている場合、見開きA3サイズ)とB5サイズ(二つ折りになっている場合、見開きB4サイズ)がありますが、企業で用いる書類はA4サイズで統一されていることや、記載欄が広いことから、A4サイズをお勧めします。また、デジタル化の進展に伴い、履歴書はPDF形式で用意することが望ましいです。応募先から指定されているときはその様式に従いましょう。

 

厚生労働省履歴書様式例

 

記載方法

履歴書は提出や修正が容易なデータ形式で作成することをお勧めします。
提出時には、Windows環境で確認可能な形式で、第三者による編集を防ぐためPDF形式がお勧めです。PDFは、どんなデバイスで開いても同じ見た目が保たれるファイル形式で、WordやExcelなどの形式ではフォントやレイアウトが崩れる可能性があります。
また、WordやExcelなどの形式は、送付後も編集することが可能なため、悪意のある人によって、内容が改ざんされる可能性があります。PDFは、基本的に送信後に内容を変更することができないので、安全に履歴書を送ることができます。

 

履歴書における誤字脱字は、あなたの注意力や集中力が低いと思われる可能性があり、仕事でもケアレスミスを起こしそうだと判断されるかもしれません。また、丁寧さや熱意が感じられないと、志望度や意欲が低いと思われる可能性があります。誤字脱字を防ぐためには、身近な方や転職エージェント(人材紹介会社)にチェックしてもらう、時間をおいてから自分で見直す、音読してみるなどの対策が有効です。

 

読みやすくていねいな文章表現

読み手の立場に立った読みやすい記載する

文字や行間を適切に空けて、全体的に読みやすいレイアウトを心掛けることが重要です。情報が密集しすぎると、読み手に負担を与えかねません。そのため、文字や項目ごとの間隔を適度に取り、履歴書がスッキリと見えるように配慮します。

 

フォントは、楷書体・明朝体が読みやすくと正式な文書に適した印象を持ち合わせています。

楷書体は整然とした字形で、フォーマルな品格にあります。書類全体に整理された、信頼性の高い印象を与えます。

明朝体はビジネス文書によく使われるフォントで、読みやすく、楷書体と同様に信頼性が高いとされています。

 

フォントサイズは 10.5pt~11pt が標準で、名前などの記入欄の大きな部分は14pt~18pt程度にするとバランスが良いでしょう。デザイン性の高いフォントや複数のフォントを混在させるのは避けましょう。

 

履歴書は正式なビジネス文書なので、シンプルで統一感のあるレイアウトにすることが大切です。

 

文体や年号などの記載スタイルは統一する

文体は「です・ます」調で統一し、年号は西暦で記載します。

和暦は日本独自の表記で、元号が変わるときに混乱する可能性があります。

 

略号や省略形の使用は避け、繰り返し記号「〃」や「同上」、「同社」といった表現も使わないようにします。固有名詞は正式名称で記載し、名称が変更されている場合は当時の名称と現在の名称を併記します。学校名は、「高校」ではなく「高等学校」と正式に記載し、企業名は「株式会社」を省略せずに正式に記載します。海外の企業名に関しては、無理に日本語に翻訳せず、正式な社名をそのままの言語で記載することが適切です。

 

  適切ではない例 適切な例(正式な名称)
住所 〇〇町1-2-3 〇〇町一丁目2番地3号
学校名 〇〇高校 〇〇県立〇〇高等学校
企業名 (株)〇〇〇〇 株式会社〇〇〇〇
資格名 普通免許 普通自動車第一種運転免許

 

写真の撮り方

履歴書の写真は、3ヶ月以内に撮影された正面バストアップ写真を使用します。

日本の履歴書では、自然な表情で、顔がはっきり正面から見える写真を選び、体を斜めにしたポーズやスナップ写真は適切ではありません。

 

写真スタジオやプロのカメラマンによる撮影がおすすめですが、駅などに設置されている証明写真機を使用することも可能です。自分で撮影する場合は、カメラをしっかり固定し、自撮りではないことが明らかな写真を撮るようにしましょう。無背景、無帽で撮影し、カラー写真が一般的です。

 

服装は襟のついた服が一般的です。白か淡色のシャツ、ダーク系のスーツ、派手でないネクタイとすることが好ましいとされます。

透ける生地、レース・フリルを多用した服、目立つアクセサリーは好ましくありません。髪の毛はボサボサにならないよう整え、髪の毛で顔が隠れすぎると暗い印象になるので注意しましょう。

 

個人情報の記載方法

氏名は大きめの文字で記載します。日本では姓(family name)を先に記載し、名(first name)をその後に記載しますが、自国の慣習に従った名前の順序で問題ありません。

性別欄は任意記載欄であり、応募者が記載したい内容で記載することが可能です。

住所は、都道府県名やマンション・アパートの名称、部屋番号を省略せずに正式な表記で記入します。

連絡先は、固定電話と携帯電話を持っていれば両方記載し、携帯電話のみでも構いません。現住所以外で常時速やかに連絡が取れる場合はその氏名と住所、電話番号を記載します。
在職者の場合、現在の勤務先を連絡先に記載することは適当ではありません。

メールアドレスを持っている場合はそれを記載しても差し支えありません。

 

職歴欄の記載方法

一般的な記載方法

これは「事業内容・従業員数」、「配属部署名」、「職務内容」について付記した例ですが、このうち特に重要な「職務内容」についてだけ、「○○○業務を担当」、「○○○業務に従事」などのように付記する方法があります。「職務内容」としては、仕事の具体的内容、処理方法、責任の範囲のほか、顧客・取扱製品の種類、商品の数、使用機器、技術などを付記する方法もあります。シンプルに会社名と入退社のみの記載でも問題ありません。

 

派遣就業の記載方法

 

アルバイト就業の記載方法

学業期間中のアルバイト就業については通常記載しません。ただし、学業期間中のアルバイト就業のうち、職務内容が応募先企業の職務内容に関係している場合、責任を与えられた仕事であった場合、ビジネスマナーの基本を習得していることをアピールできるような場合などは、アルバイト就業であることを明記の上で記載します。

 

学歴の記載方法

学歴は、学校への入学および卒業・修了の経歴を古い順に記載します。高等学校、専門学校、短期大学、大学は「卒業」、職業訓練校(日本語学校)、大学院は「修了」と記載し、学部、学科、コース、専攻も記載します。

職業訓練の受講については記載しても差し支えありませんが、大学受験浪人中の予備校等については通常記載しません。

 

志望動機、アピールポイントの記載方法

転職の場面では志望動機、アピールポイントを記載することが特に重要です。新卒入社や経験が浅い方の場合には、志望動機と合わせて、学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)などを記載すると良いでしょう。

 

具体的には、応募先企業を選んだ理由、自己の経験・能力のアピール、どのような仕事をして会社に貢献したいかを盛り込みます。志望動機を記載する際は、応募先企業の情報を求人票やホームページなどで事前に調べ、理解を深めることが大切です。

 

記載例

  • 御社の革新的な営業戦略に感銘を受け、私の広範囲なクライアント管理経験を活かし、新しい市場開拓に貢献したいと考えています。特に、以前の職で培った顧客関係構築のスキルを用いて、御社の営業チームを強化できると自負しています。

 

  • 御社の業界における卓越した成長と革新性に魅力を感じ、私の営業経験と市場分析の能力をもって、御社のさらなる成功に貢献したいと考えています。過去の職での新規顧客獲得の成功体験を活かし、御社の目標達成に貢献します。

 

  • 御社の営業チームへの参加を通じて、短期間の営業経験と大学でのマーケティング学習を生かしたいです。インターンシップでの顧客対応や市場調査経験を基に、営業戦略の立案に貢献し、御社の成長に寄与できるよう努めます。

 

  • 御社の営業チームに参加し、大学で培ったコミュニケーションスキルとチームワークを貢献したいと考えています。学生団体でのイベント企画や運営で得た経験を通じて、チーム内の協力や顧客対応を学びました。これらのスキルを御社の営業戦略に応用し、貴社の成長に寄与したいと考えています。